青山数理セミナー

理工学部数理サイエンス学科・大学院理工学研究科基礎科学コース

第87回

  • 日時:2025年11月19日(水)15:10〜(60分+質疑応答の予定)
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟6階 L603)
  • 講師:伊藤要平氏(青山学院大学 理工学部)
  • 題目:D加群とリーマン=ヒルベルト問題
  • 概要:(i)「リーマン球面から有限個の点を除いた領域の基本群の表現を与えた時に、それをモノドロミー表現として持つような確定特異点型微分方程式が存在するか」という問題をリーマン=ヒルベルト問題と言います。これは与えられた表現が既約でない場合には必ずしも正しくはありません。
    (ii) D加群は線型偏微分方程式系を代数的に定式化し直したものとして1960年頃に佐藤幹夫先生により導入されました。そして、1970年代初期より柏原正樹先生や河合隆裕先生、Joseph Bernstein先生らが中心となって本格的に理論が進展されました。その後、1984年頃に柏原先生は、確定特異点型ホロノミーD加群の三角圏と複素構成可能層の三角圏の間に圏同値を構成しました。これはリーマン=ヒルベルト問題のD加群版を肯定的に解決したと解釈することができます。
    (iii) 本講演では、D加群について入門的な話をした後、D加群に対するリーマン=ヒルベルト対応について不確定特異点型の場合も含めて紹介したいと思います。

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