青山数理セミナー

第1回

  • 日時:2008年6月4日(水)13:30
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:増田 哲 氏(青山学院大学 理工学部)
  • 題目:パンルヴェ系の代数解 - それらの構成と明示公式 -
  • 要旨:パンルヴェ方程式,離散パンルヴェ方程式およびそれらを対称性の観点から一般化した微分または差分方程式たちを総称して,パンルヴェ系と呼ぶことにする. パンルヴェ系(の幾つか)は,方程式中のパラメータが特別な値をとる場合に代数函数で表される解を持つ. 本講演では,パンルヴェ系のあるクラスの代数函数解の構成法を解説し,それらの明示公式を与える.

第2回

  • 日時:2008年7月17日(木)15:30
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:村田 実貴生 氏(青山学院大学 理工学部)
  • 題目:q 差分パンルヴェ方程式の Lax 形式
  • 要旨:パンルヴェ方程式は,線型常微分方程式のモノドロミーを保って変形するための条件としても現われる. 一方,q 差分パンルヴェ方程式はパンルヴェ方程式の q 差分類似であり, そのうちの多くは線形常差分方程式のコネクションを保って変形するための条件として表すことができる. 本講演では,そのことについて解説する.

第3回

  • 日時:2008年11月5日(水)16:30
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:礒島 伸 氏(青山学院大学 理工学部)
  • 題目:超離散化と箱玉系の逆散乱法
  • 要旨:逆散乱法はソリトン方程式の1つである KdV 方程式の初期値問題を解く手法として提出された. また超離散化と呼ばれる手法によって KdV 方程式とセルオートマトンである箱玉系との直接の対応が示されている. 本講演では超離散化の立場から箱玉系に対する逆散乱法について解説する.

第4回

  • 日時:2008年11月12日(水)17:00
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:礒島 伸 氏(青山学院大学 理工学部)
  • 題目:超離散化と箱玉系の逆散乱法
  • 要旨:逆散乱法はソリトン方程式の1つである KdV 方程式の初期値問題を解く手法として提出された. また超離散化と呼ばれる手法によって KdV 方程式とセルオートマトンである箱玉系との直接の対応が示されている. 本講演では超離散化の立場から箱玉系に対する逆散乱法について解説する.(2回目)

第5回

  • 日時:2008年11月19日(水)16:30
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:上原 崇人 氏(九州大学 大学院数理学府)
  • 題目:有理曲面上の力学系について
  • 要旨:複素曲面上の自己同型写像による力学系については,特にエントロピーとの関係において近年多くの研究がなされている. エントロピーが正であれば,Cantat により曲面が分類されており,K3 曲面,エンリケス曲面,複素トーラス,そして有理曲面のいずれかになる. この中で有理曲面を除く3つの曲面に対しては多くの結果が得られているが,有理曲面に対してはあまり知られていない状況である. そこで本講演では,有理曲面上の自己同型写像を具体的に構成して,この力学系の性質をいくつか紹介する.

第6回

  • 日時:2008年12月17日(水)16:30
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:中園 信孝 氏(九州大学 大学院数理学府)
  • 題目:q パンルヴェ方程式の対称化とその超幾何解
  • 要旨:q パンルヴェ方程式は一般に1階連立方程式の形に書かれるが,ある特殊化によって2階単独方程式の形に帰着する. 得られた方程式については,超幾何解などの特殊解の構造が元の方程式と異なるなど奇妙な現象が知られている. この特殊化は QRT 系においてパラメータを記述する行列を対称行列に取ることに対応することから「対称化」と呼ぶ. 本講演では対称性の立場から判明した対称化の意味,および方程式の超幾何解の系列について報告する.

第7回

  • 日時:2009年5月15日(金)17:00
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:岩尾 慎介 氏(東京大学 大学院数理科学研究科)
  • 題目:周期箱玉系とトロピカル曲線
  • 要旨:周期箱玉系は,離散可積分方程式のひとつである離散周期戸田方程式に,「超離散化」操作を施すことで得られるセルラーオートマトンである. 戸田方程式の逆散乱解法に登場するスペクトル曲線と,箱玉系の解法に登場するトロピカル曲線との関係について述べたい.

第8回

  • 日時:2009年5月20日(水)15:00
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:伊藤 雅彦 氏(青山学院大学 社会情報学部)
  • 題目:セルバーグ型超幾何関数の隣接関係式と補間多項式
  • 要旨:ガウスの超幾何関数の積分表示をセルバーグ積分を用いて多重積分に拡張したものをセルバーグ型超幾何関数と呼ぶことにして, その関数が満たす隣接関係式(差分方程式)を紹介する.

第9回

  • 日時:2009年5月21日(木)16:30
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟6階 L-603)
  • 講師:及川 正行 氏(九州大学 応用力学研究所)
  • 題目:KP 方程式のソリトン解と V 字形初期値問題

第10回

  • 日時:2009年6月3日(水)15:00
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:野原 勉 氏(東京都市大学 知識工学部)
  • 題目:二重冪項を持った非線形シュレーディンガー方程式のソリトン解の近似表現について
  • 要旨:3次非線形項に n 次非線形項を加えた非線形シュレーディンガー方程式の定常ソリトンの解表現を考える. 一般には,解析解を求めることができないので,多重スケール法により近似解を漸近的に求める. 本講義では,多重スケール法により求められた第 n 次変形式の同次部分は n によって変化せず, 求められた高次項が Legendre 陪関数により表せることを示す.

第10回

  • 日時:2009年6月3日(水)15:00
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:野原 勉 氏(東京都市大学 知識工学部)
  • 題目:二重冪項を持った非線形シュレーディンガー方程式のソリトン解の近似表現について
  • 要旨:3次非線形項に n 次非線形項を加えた非線形シュレーディンガー方程式の定常ソリトンの解表現を考える. 一般には,解析解を求めることができないので,多重スケール法により近似解を漸近的に求める. 本講義では,多重スケール法により求められた第 n 次変形式の同次部分は n によって変化せず, 求められた高次項が Legendre 陪関数により表せることを示す.

第11回

  • 日時:2009年6月30日(火)15:30
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:和地 輝仁 氏(北海道工業大学 総合教育研究部)
  • 題目:対称対に付随する冪零軌道とその組み合わせ論
  • 要旨:g = k + p を,実リー環のカルタン分解の複素化とすると,k をリー環に持つ複素リー群 K が複素ベクトル空間 p に作用する. 本講演での対称対に付随する冪零軌道とは,p 上の K-軌道である. p 上の冪零 K-軌道の分類や閉包順序は既知である. したがって軌道の個数も理屈ではわかるが,明示公式があるわけではないように思われる. 本講演の前半での目標は,(g, k) が classical 対称対の場合の軌道の個数の母関数である. 本講演の後半では,(g, K)-加群の随伴多様体の幾何と関連させて,p 上の冪零 K-軌道に対して関係を定義する. 軌道を頂点,この関係を辺とするグラフを考え,グラフが連結であるための条件を,(g, k) が classical 対称対であるときに与える. さらに,連結なグラフに対し,頂点である軌道の閉包が既約成分をなすような随伴多様体を持つ (g, K)-加群が存在することにも触れたい.

第12回

  • 日時:2009年7月3日(金)17:00
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:川上 拓志 氏(東京大学 大学院数理科学研究科)
  • 題目:rigid な大久保型方程式の合流につい
  • 要旨:Gauss の超幾何方程式は「rigid = アクセサリーパラメータを持たない」という良い性質を持っている. 従って超幾何関数のような特殊関数を他にも見つけたいと思ったとき,rigid な微分方程式を分類することは興味深い問題である. 本講演では,横山利章氏によって得られた rigid な大久保型方程式のリストから合流で得られる一般大久保型方程式を紹介する.

第13回

  • 日時:2009年10月19日(月)16:30
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:吉田 正章 氏(九州大学 大学院数理学研究院)
  • 題目:超幾何的黒写像及び又黒写像

第14回

  • 日時:2009年10月28日(水)16:40
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:久保 奨 氏(総務省統計局)
  • 題目:代数方程式の超離散化
  • 要旨:代数方程式( n 次方程式)を超離散化した方程式(以下「超離散 n 次方程式」という)について考察した. ある条件の下で,超離散 n 次方程式は相異なる n 個の実根を持つ. この条件は,代数方程式が相異なる n 個の正根を持つための条件を超離散化したものに等しいと考えられる. また,超離散 n 次方程式の根がすべて実根とは限らない場合から,絶対値が負になる数の可能性について言及したい.

第15回

  • 日時:2009年11月4日(水)16:40
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:津田 照久 氏(九州大学 大学院数理学研究院)
  • 題目:UC 階層とモノドロミー保存変形
  • 要旨:UC 階層とは,2つの無限系列の時間発展を持つような,KP 階層の一つの拡張です. 講演では,UC 階層の相似簡約として,パンルヴェ第6方程式やガルニエ系を含んだモノドロミー保存変形型の有限次元可積分系が導かれることをお話します. 得られた方程式(=シュレジンガー系のあるクラス)の多項式ハミルトン系による統一的な記述,対称性,特殊解などについても紹介する予定です.

第16回

  • 日時:2009年11月4日(水)18:00
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:Mike Hay 氏(九州大学 大学院数理学研究院)
  • 題目:A completeness study on a class of Lax pairs
  • 要旨:We find every Lax pair that can be written in a certain simple form. The Lax pairs are for two dimensional partial difference equations and consist of linear problems written in 2x2 matrix form, with one term in each matrix entry. Two new systems are found which can be reduced to the lattice modified KdV equation or the lattice sine Gordon equation in special cases.

第17回

  • 日時:2009年11月18日(水)16:40
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:斉木 吉隆 氏(京都大学 数理解析研究所)
  • 題目:連続カオス力学系の不安定周期軌道解析に関する数値的研究
  • 要旨:カオス力学系の不安定周期軌道に関するいくつかの基本的性質をレビューした後,複数の低次元連続カオス力学系から数値的に検出された1000個程度の不安定周期軌道を用いて得られた軌道平均値に関する統計解析結果を紹介する. 後半では,共変リアプノフ解析を用いて Lorenz 系の安定多様体と不安定多様体のなす角度を計測し,パラメタ変化に伴う多様体間の接構造の発生と周期軌道の関連を議論する.

第18回

  • 日時:2009年12月2日(水)16:40
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:眞野 智行 氏(琉球大学 理学部)
  • 題目:q 差分パンルヴェ VI 方程式の境界点における漸近挙動と接続問題
  • 要旨:q 差分パンルヴェ VI 方程式について,2階線形 q 差分方程式の接続保存変形の構造を用いて境界点における解の局所表示を決定する. またその結果を用いて,2つの境界点における局所解の間の接続関係を記述する. 微分の場合のパンルヴェ VI 方程式については同様の結果が Jimbo (1982) によりすでに得られているが,q 差分の場合に現れる困難および今後の課題についても述べたい.

第19回

  • 日時:2009年12月15日(火)10:30
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:長井 秀友 氏(早稲田大学 基幹理工学部)
  • 題目:超離散ソリトン系における行列式解
  • 要旨:超離散ソリトン方程式における解表現の一つとして超離散パーマネント解が存在する. 超離散パーマネントはパーマネント,すなわち行列式の定義から符号を取り除いたものを超離散化することで定義され,ある条件下ではプリュッカー関係式に相当する関係式を満たす. 本講演ではこの超離散パーマネントを用いて表される超離散ソリトン方程式,超離散ベックルンド変換等について紹介する.

第20回

  • 日時:2010年4月21日(水)16:40
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟6階 L-603)
  • 講師:伊藤 雅彦 氏(東京電機大学 未来科学部)
  • 題目:BCn 型 q 超幾何関数の三項間隣接関係式とその応用
  • 要旨:この講演における BCn 型 q 超幾何関数とは,Gauss の(もしくは Heine の)超幾何関数の積分表示のある種の類似であり,古典的には(very-) well-poised と呼ばれるクラスの q 超幾何関数で,一般には Cn 型ワイル群対称性をもつ多重 q 積分(q 級数)で定義される. この q 超幾何関数に対して,ある対称多項式の族を定義すると(ここでは BC 型補間多項式と呼ぶ),それらの間に三項間関係式が成立することを見つけたので紹介する. また,その関係式を使った2,3の応用も紹介する予定である.

第21回

  • 日時:2010年5月20日(木)16:40
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:佐々木 英一氏(数理解析研究所)
  • 題目:回転球面上の帯状流の分岐
  • 要旨:回転球面上の流れは,地球や惑星の大気の流れと関連し,また理論的にも,境界のない2次元コンパクト領域における流れの一例として興味深い. 特に,球面上の基本的な解として,渦度が一つの球面調和関数で表される流れ(Rossby 波)は,非粘性流の線形安定性解析が1970年代に行われているものの,不安定化後の解の分岐構造は知られていない. ここでは,非回転/回転球面上で特に2本および3本の東西ジェットを伴う帯状流からの分岐構造の数値結果を,2次元トーラス上の場合(Kolmogorov 流)との比較を交えて報告する.

第22回

  • 日時:2010年6月30日(水)16:40
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:鈴木 貴雄 氏(神戸大学 大学院理学研究科)
  • 題目:高階パンルヴェ型微分方程式の n+1Fn 超幾何函数解
  • 要旨:現在までにパンルヴェ VI 方程式の高階化がいくつか提出されている. その中で,A型アフィン・ワイル群対称性を持つものについては,一般超幾何関数 n+1Fn で記述される特殊解を持つことが最近の研究で明らかになった. この結果の詳細を報告することが本講演の目的である.

第23回

  • 日時:2010年7月21日(水)16:40
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:中桐 悦二 氏(工業所有権協力センター)
  • 題目:有限体上楕円曲線の Hankel 行列式表現と p 進数による超離散化について

第24回

  • 日時:2010年10月25日(月)16:30
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:竹内 康博 氏(静岡大学 工学部)
  • 題目:Paradox of vaccination

第25回

  • 日時:2010年11月5日(金)16:30
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:Basile Grammaticos 氏(パリ第7大学)
  • 題目:On the nonlinear discrete integrable systems

第26回

  • 日時:2010年11月8日(月)10:00
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:Basile Grammaticos 氏(パリ第7大学)
  • 題目:Recent topics on the nonlinear discrete integrable systems

第27回

  • 日時:2011年1月12日(水)16:30
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:岩尾 慎介 氏(東京大学 大学院数理科学研究科)
  • 題目:周期2次元箱玉系
  • 要旨:周期境界条件を課した離散 KP 方程式を超離散化することで,2次元に拡張された周期箱玉系を得ることができる. 2次元周期箱玉系(2dpBBS)においても,通常の箱玉系同様にトロピカル曲線を用いた初期値問題の解法が有効である. 本講演では,2dpBBS の初期値問題の解法,及びその系として,運搬車付き箱玉系の初期値問題の解法について紹介する.

第28回

  • 日時:2011年1月12日(水)18:00
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:服部 円佳 氏(東京大学 大学院数理科学研究科)
  • 題目:非線形シュレディンガー方程式の離散化について
  • 要旨:KP 方程式にリダクション条件を課すことによって,非線形シュレディンガー方程式が得られることは知られている. その手法を離散系に適用し,広田三輪方程式にリダクション条件を課すことで離散非線形シュレディンガー方程式を導く. さらに,得られた方程式が連続系の解に対応する解を持つことを示す.

第29回

  • 日時:2011年8月29日(月)15:00
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:前野 俊昭 氏(京都大学 大学院工学研究科)
  • 題目:Sperner property and finite-dimensional Gorenstein algebras associated to matroids
  • 要旨:Sperner 性とは,階層 poset の反鎖の大きさに関する性質であり,幾つかの典型的な poset が Sperner 性を持つことが知られている. しかし,その証明は意外に難しい. 80年頃 R. Stanley は旗多様体の cohomology 環に対する強 Lefschetz 定理を利用して Weyl 群上の Bruhat 順序に関する Sperner 性を証明した. このアイデアは様々な poset に応用できることが分かっている. この講演では有限体上の線型空間の部分空間がなす poset に対し,ある種の有限次元 Gorenstein 可換代数を構成し,その Lefschetz 性を示すことで Sperner 性の証明を与える. ここで構成する Gorenstein 代数は組合せ的に興味深い性質を持っており,定義イデアルの Groebner fan とある種の tropical 超曲面との関係についても触れたい.

第30回

  • 日時:2011年9月2日(金)15:00
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:松本 裕行 氏(山形大学 理学部)
  • 題目:双曲空間上の確率解析とセルバーグ跡公式
  • 要旨:双曲空間上のブラウン運動と呼ばれる,ラプラシアンを生成作用素とする拡散過程について紹介し,ブラウン運動に対する考察から熱核,ポアソン核などの表示が得られることを示す. 特に,ポアンカレ上半平面の場合に,セルバーグ跡公式の証明を紹介する. 確率論における話題として密接に関係するベッセル関数,ベッセル過程に関わる話題についても触れる予定である.

第31回

  • 日時:2011年12月10日(土)16:30
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:渡辺 文彦 氏(北見工業大学 工学部)
  • 題目:アーベル曲面上におけるツイストホモロジー類の構成(土管工事)
  • 要旨:本講演では,複素トーラス(アーベル曲面)上にテータ函数の零点配置を考え,それに付随するツイストホモロジー類の具体的構成法につき説明をおこなう. 射影空間上の定積分としての超幾何積分の一般化として,講演者は最近,複素トーラス上の定積分を考えてもよいのではと思っているが,上記のことがらはこのような一般化をするうえでの基礎を与える. なぜこのような一般化が考えられるに至ったかについても言及したい.

第32回

  • 日時:2011年12月16日(金)16:30
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-521)
  • 講師:今 隆助 氏(明治大学 先端数理科学インスティテュート)
  • 題目:年齢構造を持つ捕食者・被食者モデル:周期ゼミの問題
  • 要旨:周期ゼミはアメリカ東部に生息するセミであり,13年又は17年という素数周期で一斉に羽化する. ある仮説は,2年や3年の周期を持つ捕食者を避けるために素数周期が有利であると主張している. 本発表では,年齢構造を持つ捕食者・被食者モデルを解析し,この仮説の妥当性について検証した結果を紹介する.

第33回

  • 日時:2011年12月21日(水)15:00
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟6階 L-603)
  • 講師:大島 芳樹 氏(東京大学 大学院数理科学研究科)
  • 題目:多重旗多様体と導来関手加群の K タイプについて

第34回

  • 日時:2012年3月2日(金)16:30
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:高野 恭一 氏(青山学院大学 理工学部)
  • 題目:パンルヴェ性について

第35回

  • 日時:2012年3月5日(月)16:30
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:鈴木 貴雄 氏(大阪府立大学 高等教育推進機構)
  • 題目:高階パンルヴェ方程式のラックス形式とラプラス変換
  • 要旨:パンルヴェ VI 方程式の高階化の一つである A(1)2n+1 型高階パンルヴェ系(津田照久氏によるシュレジンガー系 Hn+1,1 と等価)は,バーコフ標準型とフックス型の2種類の線形微分方程式系の両立条件として得られることが知られている. 本講演では,それらの間の関係をラプラス変換を用いて明らかにし,更には得られた結果の q 離散化についても考察する.

第36回

  • 日時:2012年3月14日(水)16:30
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:中園 信孝 氏(九州大学 大学院数理学府)
  • 題目:Extension of a one-dimensional reduction of the Q4 mapping to a discrete Painleve equation
  • 要旨:2009年に Ramani et al. は Q4 mapping に (1,1)-reduction と Singurality Confiment による拡張を適用することで,楕円型の2階非線形常差分方程式を導出した. Ramani et al. はこの楕円型の常差分方程式を Lattice equation のリダクションとして得られる楕円パンルヴェ方程式の初めての例であると主張した. 本講演では,この方程式の初期値空間及び解を調べて得られた成果についての報告をする.

第37回

  • 日時:2012年5月25日(金)16:40
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:斉木 吉隆 氏(京都大学 数理解析研究所)
  • 題目:連続カオス力学系の不安定周期軌道解析に関する数値的研究
  • 要旨:カオス力学系の不安定周期軌道に関するいくつかの基本的性質をレビューした後,複数の低次元連続カオス力学系から数値的に検出された1000個程度の不安定周期軌道を用いて得られた軌道平均値に関する統計解析結果を紹介する. 後半では,共変リアプノフ解析を用いて Lorenz 系の安定多様体と不安定多様体のなす角度を計測し,パラメタ変化に伴う多様体間の接構造の発生と周期軌道の関連を議論する.

第38回

  • 日時:2012年6月22日(金)16:40
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟6階 L-603)
  • 講師:笹野 祐輔 氏
  • 題目:パンルべ階層とソリトン方程式
  • 要旨:2010年,ソリトン方程式として知られている mKdV5 方程式が,特別な条件を満たす場合,4階の自励的な非線形方程式(=パンルべ II 族の第2族 PII(2)の自励系)を mKdV 方程式で時間発展させた系として導出できることを示しました. この系は,2変数の多項式型ハミルトニアン系と同値であることを導きました. この2変数ハミルトニアン系は,超楕円関数をもちいて解を構成できることが Cosgrove 氏の研究をもちいれば解決できそうです. 佐藤理論から20年,ソリトン方程式で取り扱える新しい解が発見されました. この研究に続き,ガルニエ方程式でも同様な結果を得ることを示しました. また,3階の Chazy 方程式について,これらの系を含む2変数の多項式型の偏微分系が発見されていますが,この系もソリトン方程式のように書き下せることを結果として得ることができました. この研究によって,ガルニエ方程式の研究はソリトン方程式の研究へ応用でき,また,これまでに知られているソリトン方程式の研究をガルニエ方程式に応用できることも示唆しています. また,ガルニエ方程式の各正則座標系(初期値空間の各正則座標系)における2変数の多項式ハミルトニアン系について,それぞれソリトン方程式が対応することから,ガルニエ方程式に付随するソリトン方程式の族を構成でき,それぞれの方程式は有理変換で対応することが明示できます. これらの研究結果をもちいて,その他の偏微分方程式系(たとえば Navier-Stokes の方程式など)の研究にも応用していくことを今後の課題としたいと思います.

第39回

  • 日時:2012年6月27日(水)16:00
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:石崎 晋也 氏(東京大学 大学院数理科学研究科)
  • 題目:分岐を持つ合流型一般超幾何微分方程式の reduction と接続公式
  • 要旨:rigid である(アクセサリパラメータを持たない)線形常微分方程式は,Laplace 変換と middle convolution という具体的な積分変換の繰り返しによって1階の微分方程式にまで帰着できることが知られている. 本講演ではその一つの具体例として分岐を持つ一般超幾何方程式を扱い,その接続公式を計算する手法を提示する. また,一般の方程式に対する具体的な reduction algorithm についても考察を行う.

第40回

  • 日時:2012年9月11日(火)15:00
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:杉原 正顯 氏(東京大学 大学院情報理工学系研究科)
  • 題目:DE 公式から DE-Sinc 数値計算法へ

第41回

  • 日時:2012年9月12日(水)17:00
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:中村 隆 氏(東京理科大学理工学部)
  • 題目:ゼータ関数の普遍性とリーマン予想について

第42回

  • 日時:2012年9月13日(木)16:30
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:示野 信一 氏(関西学院大学 理工学部)
  • 題目:行列値の可換な微分作用素とその固有関数

第43回

  • 日時:2012年9月14日(金)13:00
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-521)
  • 講師:梶木屋 龍治 氏(佐賀大学 大学院工学系研究科)
  • 題目:半線形楕円型偏微分方程式の解の非対称性

第44回

  • 日時:2012年12月19日(水)16:00
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:津田 照久 氏(一橋大学 大学院経済学研究科)
  • 題目:A geometric approach to tropical Weyl group actions and q-Painleve equations

第45回

  • 日時:2012年12月19日(水)17:45
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:増田 哲 氏(青山学院大学 理工学部)
  • 題目:笹野系の q-類似

第46回

  • 日時:2013年1月15日(火)16:30
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:廣惠 一希 氏(京都大学 数理解析研究所)
  • 題目:リーマン球面上の常微分方程式の Deligne-Simpson 問題について
  • 要旨:次のような問題を考えてみる. GL(n,C)の元の共役類の組 C1,C2,...,Cr を与えたときに,各 Ci の元 gi の組 g1, g2, ..., gr で g1g2...gr=1 を満たし,かつ既約となるようなものが存在するか? また,次のように言い換えることもできる. Riemann 球面から r 個の点を除いた平面の基本群の n 次元モノドロミー表現が既約になるような,局所モノドロミーの同型類を決定せよ. この問題は Deligne によって 80 年代に提唱され,その後の Simpson や Kostov 等の研究を経て現在では Deligne-Simpson 問題と呼ばれている. そして近年 Crawley-Boevey 等の研究によって,モノドロミー表現と箙の表現との対応が見出され,箙の表現論から Deligne-Simpson 問題はほぼ解決された. この箙による記述は Boalch 等によってさらに一般化され,不確定特異点を持つ微分方程式のモノドロミー保存変形の理論へも応用されている. 講演ではこれらを概観するともに,不確定特異点を持つ微分方程式と箙の表現との対応や,Deligne-Simpson 問題の類似について解説したい.

第47回

  • 日時:2013年2月27日(水)16:30
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:大久保 直人 氏(東京大学 大学院数理科学研究科)
  • 題目:差分方程式の Laurent 性とクラスター代数
  • 要旨:差分方程式の初期値問題において, その解がすべて初期値の Laurent 多項式となることを, Laurent 性を持つという. 本講演では,クラスター代数の Laurent 性定理を用いて,様々な差分方程式が Laurent 性を持つことを示す. また,係数つきクラスター代数の Laurent 性定理を用いて,Laurent 性を持つ非自励差分方程式を構成する方法を紹介する.

第48回

  • 日時:2013年6月28日(金)16:50
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-521)
  • 講師:伊藤 雅彦 氏(東京電機大学 未来科学部)
  • 題目:2つの多変数ラマヌジャン1ψ1和公式
  • 要旨:ラマヌジャン1ψ1和公式は,q 二項定理の拡張にあたる恒等式で,ある両側無限級数を無限積で表示する公式である. また,この公式はベータ関数とガンマ関数の関係の自然な拡張になっている. 一方,ベータ関数の多重積分による一般化として2通りの積分公式が知られており(Selberg 積分と Dixon-Anderson 積分), その q 類似は主に 1980 年代から 90 年代にかけて研究された. この講演では,この2つの q 積分公式の拡張となる多変数のラマヌジャン1ψ1和公式を紹介する.

第49回

  • 日時:2014年1月23日(木)13:30
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟7階 L-728)
  • 講師:山口 雅司 氏(東京大学 大学院数理科学研究科)
  • 題目:q-middle convolution と rigidity index の保存性定理
  • 要旨:有理関数係数の線形 q 差分方程式系に対して定義される q-middle convolutionは,既約な方程式を既約な方程式にうつし,Fuchs 型方程式を同じ次数の Fuchs 型方程式にうつし,さらにアクセサリーパラメーターの個数に関係すると考えらえる rigidity index を保存する. 本講演では rigid な方程式の例である Heine の q-超幾何方程式(1,1;1,1;1,1型)や,rigid でない方程式の例である,q パンルヴェⅥ 型方程式が付随する 1,1;1,1;1,1,1,1 型方程式について言及しつつ,理論の概略を紹介する. また本研究は坂井秀隆氏(東京大学)との共同研究である.

第50回

  • 日時:2014年2月28日(金)13:30
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:岩木 耕平 氏(京都大学 数理解析研究所)
  • 題目:完全 WKB 解析と団代数
  • 要旨:Voros により 1980 年代に創始された完全 WKB 解析(Exact WKB analysis)は,2 階線形常微分方程式の大域的解析に非常に有効である. 一方,団代数(cluster algebra)とは,初期変数たちから変異と呼ばれる操作で得られる変数たちを生成元とする代数であり,Fomin-Zelevinsky により導入された. 本講演では,完全 WKB 解析における様々な量や公式が団代数の言葉で定式化できることを解説する. これらは中西知樹氏(名大・多元数理)との共同研究により得られた結果である.

第51回

  • 日時:2014年3月14日(金)14:00
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  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-506)
  • 講師:勝島 義史 氏(東京大学 大学院数理科学研究科)
  • 題目:線形差分方程式の大域解析
  • 要旨:線形常微分方程式の大域的な情報には,モノドロミー群や接続公式に代表されるように,複素関数として意味のあるものが広く知られている. そのような観点で常差分方程式を捉えた場合,大域的な情報はストークス現象に集約しているように思われる. 本講演では,代数的な(Fuchs 型に対応する)線形常差分方程式について,ストークス現象が起こるメカニズムを見る. その応用例として,簡単な差分方程式の接続問題をストークス現象の解析の立場から解く.

第52回

  • 日時:2014年11月26日(水)10:30
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟4階 L-416)
  • 講師:大久保 直人 氏(東京大学 大学院数理科学研究科)
  • 題目:クラスター代数と q-パンルヴェ III, VI 型方程式
  • 要旨:クラスター代数はクラスター変数,係数,quiver に mutation と呼ばれる操作を繰り返すことで定義される. 本講演では,mutation-period と呼ばれる性質をもつ適当な quiver を考えたとき,クラスター変数と係数が q-パンルヴェIII, VI 型方程式の双線形形式,非線形形式となることを紹介する. また,これらの高階類似についても考察する.

第53回

  • 日時:2014年11月28日(金)14:00
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-521)
  • 講師:伊藤 雅彦 氏(東京電機大学 未来科学部)
  • 題目:BC 型楕円超幾何和および BC 型楕円セルバーグ積分の差分方程式
  • 要旨:BC 型楕円超幾何和および BC 型楕円セルバーグ積分はどちらも楕円ガンマ関数の積で表示できることが知られている. このことを,和および積分が満たす差分方程式を導出することで説明する.

第54回

  • 日時:2015年11月4日(水)10:30
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟6階 L-603)
  • 講師:長尾 秀人 氏(明石工業高等専門学校)
  • 題目:パデ法に基づく q ガルニエ系の構成
  • 要旨:パデ法に基づく q ガルニエ系の構成について報告する(山田泰彦氏との共同研究に基づく). 主として,ラックス形式と時間発展方程式の構成,E7 型 q パンルヴェ方程式への退化を中心に述べる予定である. 時間に余裕があれば,特殊解等についても触れたい.

第55回

  • 日時:2015年11月18日(水)14:00
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟6階 L-603)
  • 講師:神吉 雅崇 氏,間瀬 崇史 氏(東京大学大学院数理科学研究科)
  • 題目:離散方程式の代数的エントロピーと初期値空間
  • 要旨:可積分系と呼ばれる性質のよい微分方程式系の離散(差分)版についての紹介を行う. 離散系の可積分性判定基準である特異点閉じ込めテストについて概説した後,その厳密化の試みを紹介する. 特に Hietarinta-Viallet 方程式の拡張系を中心として,方程式の複雑さを記述する代数的エントロピーの導出と,方程式の初期値空間の構成についての最近の結果を述べる. 本研究は時弘哲治氏(東大数理)との共同研究である.

第56回

  • 日時:2016年11月4日(金)10:30
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟4階 L-416)
  • 講師:中村 あかね 氏(城西大学理学部)
  • 題目:スペクトラル曲線と Painleve 因子の退化
  • 要旨:4 次元自励 Painleve 方程式をはじめとする,スペクトラルパラメーター入りの Lax 形式で記述される 4 次元の完全積分可能系について,スペクトラル曲線と Liouville トーラスの Painleve 因子の退化について説明する.

第57回

  • 日時:2016年11月16日(水)13:20
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟6階 L-603)
  • 講師:Yu Min 氏(青山学院大学 大学院理工学研究科)
  • 題目:Complicated role and stability analysis of delay effect in a tumor immune system
  • 要旨:We propose a tumor immune system interaction model with distributed delays which combine a monotonic delay kernel and a nonmonotonic delay kernel. By using the linear chain trick, we simplify the distributed delay model into an ordinary differential equations model. Then, we discuss the effect of two delay kernels on system dynamics.

第58回

  • 日時:2016年11月25日(金)10:30
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟4階 L-416)
  • 講師:大久保 直人 氏(東京大学 大学院数理科学研究科)
  • 題目:一般化された q パンルヴェ VI 方程式とクラスター代数について
  • 要旨:Fomin-Zelevinsky により導入されたクラスター代数とは,mutation と呼ばれる操作によって定義されるある種の可換環である. いくつかの q パンルヴェ方程式に対応するクラスター代数が知られているが,本講演では一般化された q パンルヴェ VI 方程式に対応するクラスター代数が得られたことを紹介する. 本研究は鈴木貴雄氏(近畿大学)との共同研究である.

第59回

  • 日時:2017年5月24日(水)14:00
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟6階 L-603)
  • 講師:勝島 義史 氏(東京大学 大学院数理科学研究科)
  • 題目:差分方程式の変換と解の変換
  • 要旨:線形常差分方程式の変換と, それに伴う解の変換を紹介する. 常微分方程式では, オイラー変換とゲージ変換を用いて, 自明な方程式の解から超幾何族, Jordan-Pochhammer 族などのリジッドな方程式の解を構成することが可能である. そのような微分方程式の解の満たす差分方程式 (d-HG, d-JP) を, 自明な差分方程式から構成することを試みる.

第60回

  • 日時:2017年6月14日(水)14:00
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟6階 L-603)
  • 講師:Yingying Sun 氏(上海大学)
  • 題目:The Sylvester equation and the elliptic potential Korteweg-de Vries (lattice) system
  • 要旨:In this talk, I will introduce the Sylvester equation and the elliptic potential Korteweg-de Vries (lattice) system which is a multi-component extension of the (lattice) potential Korteweg-de Vries equation. We obtain solutions to the Sylvester equation first and apply the results to construct solutions to the elliptic potential Korteweg-de Vries (lattice) system via Cauchy matrix method. The construction involves solving the matrix elliptic curve equation by using Toeplitz matrix techniques, and analysing the solution of the Sylvester equation in terms of Jordan normal forms. Furthermore, we analyse the dynamics of the soliton solutions.

第61回

  • 日時:2017年9月26日(火)10:30
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-521)
  • 講師:名古屋 創 氏(金沢大学 理工研究域)
  • 題目:CFT approach to the q-Painleve VI equation
  • 要旨:The talk will be based on a joint paper arXiv:1706.01940 [math-ph] with M. Jimbo and H. Sakai. A q-analog of a connection between isomonodromic deformation of linear differential equations and Liouville conformal field theory at c=1 will be discussed. It will be shown that the general solution of the q-Painleve VI equation is a ratio of four tau functions, each of which is given by a combinatorial series arising in the AGT correspondence. The main technical result is connection formulas for Nekrasov-type series, which generalize the connection formula for q-hypergeometric functions.

第62回

  • 日時:2017年10月11日(水)14:00
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟7階 L-728)
  • 講師:Andrew Kels 氏(東京大学大学院 総合文化研究科)
  • 題目:Yang-Baxter equation, elliptic hypergeometric integrals, and ABS equations
  • 要旨:The Yang-Baxter equation is a key equation for integrability of two-dimensional models of statistical mechanics. Particularly, for some lattice models, the Yang-Baxter equation takes a special form known as the "star-triangle relation". The most general known forms of the Yang-Baxter equation for lattice models were recently found, that are expressed in terms of the elliptic gamma function, and are equivalent to transformation formulas of elliptic hypergeometric integrals. This discovery has lead to new elliptic hypergeometric "sum/integral" transformation formulas, which involve a mixture of complex and integer valued variables, and contain the well known (e.g. An, BCn) integral transformation formulas as special cases. Furthermore, the quasi-classical asymptotics of the aforementioned Yang-Baxter equations, are directly associated to discrete integrable equations in the classification of Adler, Bobenko, and Suris (ABS). This talk will give an overview of these results, based on some of the recent works of the speaker.

第63回

  • 日時:2017年12月15日(金)14:00
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟4階 L-416)
  • 講師:竹縄知之 氏(東京海洋大学 海洋工学部)
  • 題目:いくつかの 4 次元パンルヴェ方程式に対する初期値空間
  • 要旨:近年,主に線型方程式のモノドロミー保存変形の立場から 4 次元パンルヴェ方程式に対する研究が進んできている. 本報告では,(2 次元の場合には離散対称性を調べるための強力な道具であった)岡本-坂井の意味での初期値空間を用いた 4 次元パンルヴェ方程式の研究について紹介する. 具体的には,いくつかの 4 次元パンルヴェ方程式について,既知の離散対称性を用いて初期値空間を構成し,その Neron-Severi 双格子を用いて離散対称性全体の成す群を明らかにする. 特に,2 次元パンルヴェ方程式の直積および野海-山田の A5(1) 系,4 次元 Garnier 系の場合について報告する.

第64回

  • 日時:2018年5月19日(土)14:00
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟4階 L-416)
  • 講師:勝島 義史 氏(青山学院大学 理工学部)
  • 題目:q 差分作用素の解析関数への代入

第65回

  • 日時:2018年7月2日(月)10:30
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟4階 L-416)
  • 講師:Anton Dzhamay 氏(University of Northern Colorado)
  • 題目:From QRT Mappings to Discrete Painleve Equations: the geometric deautonomization approach
  • 要旨:Historically, many examples of discrete Painleve equations were obtained as an application of the singularity confinement techniques to deautonomized versions of some autonomous maps, particularly the QRT-type maps, in the works of B. Grammaticos, A. Ramani, and their collaborators. In this talk we’ll consider the main ideas behind the geometric approach to deautonomization. This approach allows systematic derivation of all discrete Painleve equations that can be obtained as deautonomizations of a given QTR maps, and it also allows for the nice pedagogical introduction to the theory of discrete Painleve equations. We consider some concrete examples, including the famous q-PVI equation of Jimbo-Sakai, and also show how one can construct examples of constrained discrete Painleve equations with special symmetry groups in this framework. This is a joint project with Tomoyuki Takenawa (Tokyo) and Stefan Carstea (Bucharest).

第66回

  • 日時:2018年10月20日(土)14:00
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟4階 L-416)
  • 講師:松家 敬介 氏(武蔵野大学 工学部)
  • 題目:超離散化可能な離散化とその周辺

第67回

  • 日時:2018年11月7日(水)14:00
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-521)
  • 講師:Alexander Stokes 氏(University College London)
  • 題目:Full-parameter discrete Painleve systems from non-translational Cremona isometries
  • 要旨:Since the classification of discrete Painleve equations in terms of rational surfaces [1], there has been much interest in the range of integrable equations arising from each of the 22 surface types in Sakai’s list. For all but the most degenerate type in the list, the surfaces come in families which admit affine Weyl groups of symmetries, translation elements of which define discrete Painleve equations with the same number of parameters as their family of surfaces. While non-translation elements of the symmetry group have been observed to correspond to discrete systems of Painleve-type through projective reduction [2], the resulting equations have fewer than the maximal number of free parameters corresponding to their surface type. We show that equations with the full number of free parameters can be constructed from non-translation elements of infinite order in the symmetry group, constructing several examples and demonstrating their integrability. This is prompted by the study of a previously proposed discrete Painleve equation related to a special class of discrete analogues of surfaces of constant negative Gaussian curvature [3]. We obtain a full-parameter generalisation of this equation from the Cremona action of a non-translation element of the extended affine Weyl group of type D4(1) on a family of generic D4(1)-surfaces.
      [1] H. Sakai, Rational surfaces associated with affine root systems and geometry of the Painleve equations, Commun. Math. Phys. 220 (1) : 165-229 (2001).
      [2] K. Kajiwara, N. Nakazono, and T. Tsuda, Projective reduction of the discrete Painleve system of type (A2+A1)(1), Int. Math. Res. Not. IMRN 2011 (4) : 930-966 (2011).
      [3] T. Hoffman, Discrete Amsler surfaces and a discrete Painleve III equation. In A. Bobenko and R. Seiler, editors, Discrete integrable geometry and physics, pages 83-96. Oxford University Press (1999).

第68回

  • 日時:2018年12月5日(水)14:00
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟5階 L-521)
  • 講師:岩尾 慎介 氏(東海大学 理学部)
  • 題目:組み合わせ論の問題をトロピカル KP を用いて解く
  • 要旨:2000年代初頭,Kirillov, Noumi-Yamada の研究により,トロピカル数学を使ってヤング盤の組み合わせ論にアプローチする手法が発見された. その後 Mikami, Katayama-Kakei によって,ヤング盤とトロピカル KP 方程式を結びつける別の関係が見つけられたが,これは Noumi-Yamada のものとは独立のものであった. 実は両者の関係をうまく利用することで,ヤング盤の組み合わせ論におけるいくつかの基本的定理(整化の一意性,Shape Change Theorem)を簡明に証明することができる. 本講演では,「整化の一意性」を例にとり,ここで使われる手法について解説する.

第69回

  • 日時:2020年1月17日(金)13:30
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟7階 L-728)
  • 講師:川上 拓志 氏(青山学院大学 理工学部)
  • 題目:高次元の離散 Painleve 型方程式について
  • 要旨:Painleve 方程式は Painleve により発見された2階の非線型常微分方程式である. 最近,高階の(高次元の)Painleve 型微分方程式に関する研究が進展しており,特に相空間が4次元の場合については Painleve 型微分方程式の全貌がつかめたと言ってよい状況である. 一方,2次元の場合は離散 Painleve 方程式を基本とした枠組みが存在し,Painleve 方程式もその中に自然に位置づけられることが知られている(坂井理論). 同様に,高次元の場合も離散方程式を基本とした枠組みを構築したい. 本講演では(その目標には到底及びませんが),高次元の Painleve 型差分及び q-差分方程式について,線型方程式の変形理論の観点からの講演者による考察・計算結果を紹介したい.

第70回

  • 日時:2022年4月27日(水)15:10~(60分+質疑応答の予定)
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟6階 L603)
  • 講師:川﨑 盛通 氏(青山学院大学 理工学部)
  • 題目:可換なシンプレクティック微分同相写像とフラックス準同型
  • 要旨: シンプレクティック多様体にはハミルトン微分同相群とシンプレクティック微分同相群という二つの変換群があるが、これらの「差」を検出するのが1次コホモロジーに値を取るフラックス準同型である。本講演では曲面上のフラックス準同型のカップ積が消滅する現象について説明する。この現象の証明に用いるのがピのカラビ擬準同型であるが、本講演では基本的な概念の説明を重視し、証明については簡潔な説明にとどめるものとする。 本研究は木村満晃氏(京都大学)、松下尚弘氏(琉球大学)、見村万佐人氏(東北大学)との共同研究である。

第71回

  • 日時:2022年5月18日(水)15:10〜(開場 14:50)60分+質疑応答の予定
  • 場所:青山学院大学相模原キャンパス(O棟1階 O103)
  • 講師:関 真一朗 氏(青山学院大学 理工学部)
  • 題目:2元2次形式の素数表現に関する星座定理
  • 要旨: ラムゼー理論において「星座定理」と呼ばれるタイプの定理・現象がある。今回の講演では特に、2元2次形式の素数表現に関する星座定理を紹介する。2元2次形式の素数表現に関する古典的な結果も交えながら、主定理の主張を理解して頂くことに重きをおき、学生を含めた広い聴衆に聴いていただけるように話す予定である。証明の概略については聴衆の反応を見て話す分量を調整したい。x^2+y^2の場合はテレンス・タオの結果であり、一般の2元2次形式の場合は講演者と甲斐亘、見村万佐人、宗政昭弘、吉野聖人(敬称略、私以外全員東北大学所属)の5人による共同研究の成果である。

第72回

  • 日時:2022年7月27日(水)15:10~16:40
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟6階 L603)
  • 講師:吉岡 玲音 氏(東京大学大学院数理科学研究科)
  • 題目:2ループBCRグラフによる結び目の空間のコサイクルの構成
  • 要旨: 球面から球面への埋め込みを(広義の)結び目という。結び目はトポロジーの最も基本的で重要な研究対象の一つである。本講演では、グラフから定まる微分形式の積分により結び目の空間のコサイクル(不変量)を取り出す方法を紹介する。この方法はE. Wittenの場の理論による定式化を背景に持ち、90年代から00年代にかけてM. Kontsevich, D. Bar-Natan, R. Bott, C. Taubes, G. Kuperberg , D. Thurston, A. S. Cattaneo, C. A. Rossiらによって数学的な定式化がなされてきた。 2018年に渡邊忠之氏はこの手法を用いて長年未開決であった4次元Smale予想を否定的に解決し、この手法は再び注目を集めている。
    講演者の研究では、Bott, Cattaneo, Rossiが用いたグラフよりもループ数の多いグラフから、既存よりも高次のコサイクルを取り出すことを試みている。この方法は2010年に境圭一氏により提唱されていたが、組み合わせ的な複雑さや技術的な問題から、現在に至るまでほとんど進展はみられなかった。講演の後半では、グラフの頂点数が少ない場合に限定して得られたいくつかの結果を紹介し、結び目の空間への応用を述べる。

第73回

  • 日時:2022年9月26日(月)15:10~(60分+質疑応答の予定)
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟6階 L603)
  • 講師:小木曽 岳義 氏(城西大学 理学部)
  • 題目:縦の糸と横の糸が織りなす絡み目へのフリーズの応用
  • フリーズの日本語の本が青山学院大学の西山先生によって書かれ最近出版され, 少しずつ若い人たちの間にもフリーズへの関心が広がりつつあるように思う. フリーズというのは縦横に正の整数がある規則で並んでいるものことであるが, フリーズ(Conway-Coxeter frieze)の魅力は, 多角形の三角形分割という幾何学的対象, 有理数の正則連分数表示や負連分数表示という整数論的対象, クラスター代数など一見関係なさそうな意外な対象が何故めぐり合うのかを教え, それらの各対象で起こっている現象をフリーズを通して見ると, 数の並びという親しみやすい言葉に言い換えられることが, ひとつにはあると思う. 今回ここでお話しするのは,マルコフ3数という2次無理数の有理数近似に関係する整数の3つ組へのフリーズの応用と,縦の糸と横の糸で織りなされる有理絡み目の構造をフリーズを使って述べる(この部分は和久井道久氏との共同研究)ことである. この縦の数と横の数の織りなすフリーズが皆さんの知的好奇心を暖めうるかもしれない, ことを期待する.

第74回

  • 日時:2022年11月14日(月)15:10~(60分+質疑応答の予定)
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟6階 L603)
  • 講師:小林 祐一朗氏(青山学院大学理工学部)
  • 題目:ネットワーク型データのラプラシアン固有値に基づく分析と数理モデル化
  • インターネットや神経回路網,人間社会のようなシステムを研究する上では,要素間の「関係」全体からなるネットワーク(グラフ)のデータが興味の対象となる.グラフ形式のデータに対する分析手法は,2000年代以降は「ネットワーク科学」として集成されてきた.しかし,データの性質を満遍なく捉え,「そのネットワークがどのような過程で生成されうるか」という数理モデルを構築することは,依然として困難な問題である. 本講演では,与えられたネットワーク上での粒子のランダムウォークを表す「ラプラシアン」とよばれる行列の固有値分布が,ネットワークの様々な幾何的特徴と関連し,データに対する数理モデル構築の上でも重要な手がかりを与えることを紹介する.特に,ネットワークの大域的な幾何的性質として重要な「次元」「スモールワールド性」「コミュニティ」の3つの特徴が,いずれもラプラシアンの固有値分布に表れ,それらの固有値分布を数理モデルによって近似的に再現することも比較的容易であることを論じる.講演内容は概ね既知の結果に基づくが,それをネットワーク形式のデータの特徴づけと数理モデル化というテーマに沿って整理しなおして提示することに本講演の主眼がある.

第75回

  • 日時:2023年3月7日(火)15:10~(60分+質疑応答の予定)
  • 場所:青山学院大学理工学部 相模原キャンパス
  • 講師:金 道漢氏(ソウル大学名誉教授,学術院正会員)
  • 題目:From Nothing to Fields Medal: A Brief History of Korean Mathematics
  • We present a leisurely talk on the development of Korean Mathematics since 1945, especially how we succeeded in hosting ICM 2014 and ICME 2012 in Seoul and a Korean Mathematician, June Huh, got the Fields medal. When Korea achieved independence there was only one regular university (former Seoul National University, at that time called Keijo Imperial University), but no department of Mathematics in Korea. After the devastating Korean War from 1950 to 1953 Korea became one of the poorest countries in the world. After the development of the Korean economy in the 1970’s and 80’s the Korean government started to support the research in science and technology in the 1990’s and Korean mathematicians and the Korean Mathematical Society have tried hard to develop Korean Mathematics. At crucial stages of development of Korean Mathematics there were some Japanese Mathematicians who played important roles. I would like to mention their contributions.

第76回

  • 日時:2023年4月26日(水)15:10~(60分+質疑応答の予定)
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟6階 L603)
  • 講師:大久保 直人氏(青山学院大学理工学部)
  • 題目:クラスター代数を用いたワイル群の双有理表現の構成
  • 要旨: クラスター代数は箙(有向グラフ)の変異と呼ばれる操作とある双有理変換によって定義される代数構造である。 箙を不変に保つ変異列を考えることで様々な離散ソリトン系やq-パンルヴェ系が得られることが知られている。 本講演では「閉路に付随する鏡映」を考えることにより様々なワイル群の双有理表現を統一的に構成できることを紹介する。 本講演の内容は増田哲氏、津田照久氏との共同研究に基づく。

第77回

  • 日時:2023年5月31日(水)15:10~(60分+質疑応答の予定)
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟6階 L603)
  • 講師:田内 大渡氏(青山学院大学理工学部)
  • 題目:旗多様体上の軌道分解と絡作用素の関係性について
  • 要旨: Gをリー群、Hをその閉部分群とし、XをコンパクトなGの等質多様体とする。 このときX上の関数空間から等質多様体G/H上の関数空間へのG絡作用素の空間が、X上のあるベクトル束のH相対不変な超関数切断の空間と同型になることが、小林俊行・B. Speh両氏により示された。H相対不変な超関数の台が、H安定な閉集合になることを考えると、XのH軌道分解と、上記のG絡作用素の空間との間には何かしらの関係性があることが期待できる。本講演ではXが実簡約リー群Gの旗多様体であるときに、この関係性についてお話しする。

第78回

  • 日時:2023年7月12日(水)15:10~(60分+質疑応答の予定)
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟6階 L603)
  • 講師:伊藤 歌那氏(東京工業大学大学院 情報理工学院・理研AIP 数理科学チーム)
  • 題目:Rogers-Ramanujan型恒等式と\(A^{(2)}_{\textrm{odd}}\)型レベル2の標準加群の関係性について
  • 要旨: Rogers-Ramanujan型恒等式とはPochhammer記号を用いて Rogers-Ramanujan恒等式のような形の(無限和)=(無限積)で表される恒等式の総称である。 Lepowsky-Wilsonが\(A^{(1)}_{1}\)型レベル3の標準加群から RR恒等式を再導出して以来、 アフィン・リー代数の標準加群から RR型恒等式や整数の分割定理が得られるという期待がある。 それに関連して本セミナーでは\(A^{(2)}_{\textrm{odd}}\)型レベル2の標準加群に焦点を当て、 主ハイゼンベルグ部分代数の真空空間について、その生成系の \(Z\)-作用素と呼ばれる頂点作用素を用いた表示について述べる。 また\(A^{(2)}_{9}\)型レベル2の場合について、 Kanade-Russellによる整数分割の条件の予想に沿った真空空間の基底の表示についても述べる。

第79回

  • 日時:2023年7月24日(月)15:10~(60分+質疑応答の予定)
  • 場所:青山学院大学理工学部 輪講室(L棟6階 L603)
  • 講師:浅野 知紘氏(京都大学数理解析研究所)
  • 題目:余接束におけるheavy subsetの層理論的な構成
  • 要旨:Tamarkin (2008) は余接束でのハミルトンアイソトピーに関するnon-displace abilityを超局所層理論から証明する手法を与えた. 一方Entov-Polterovich (2009) はnon-displaceabilityを導くより精密な概念としてheavy, superheavyなる概念を導入した.
    本講演では,層が定める被約超局所台と呼ばれる余接束の部分集合がheavyもしくは superheavyになるための緩い十分条件を与える. 例として,球状振り子やラグランジュの独楽といった古典的な完全可積分系のあるファイバーのsuperheavy性を証明する. これらの例は川﨑-折田による結果の別証明である.

第80回

  • 日時:2023年10月19日(木)15:10~(60分+質疑応答の予定)
  • 場所:青山学院大学 理工学部 相模原キャンパス(O棟1階 O122b)(通常と異なるのでご注意ください)
  • 講師:Leandro Lichtenfelz氏 (Wake Forest University)
  • 題目:Geometric hydrodynamics and singularities.
  • 要旨:This talk is an introduction to the field of geometric hydrodynamics, initiated by V. Arnold in a landmark paper in 1966. In this setting, the motion of a fluid is viewed as a geodesic on a certain configuration space, which is an infinite-dimensional group. There is a rich interplay between geometry, analysis and dynamical systems. After introducing all the necessary background, I will discuss some recent results in this field.